骨折した足に入れたボルトを抜く手術の前後に躁状態に

手術が軽躁のきっかけになるとは思いませんでしたし、あれが軽躁だったこともしばらく気付きませんでした。不機嫌を伴わず、多弁と気分高揚が主な症状でした。

当時はまだ双極性障害という病気自体を知りませんでしたが、今になって考えるとあの時は軽躁状態だったんだと思います。

混合状態時(これも当時は知りませんでした)に片足を骨折しました。その際に入れたボルトを抜くために、骨折の一年後に抜釘手術をすることになりました。

手術前日に入院。この時点で既に元気でした。手術当日には点滴を刺されました。「点滴を打ちますね」という看護師さんに対し、関係ない話をあれこれし、しゃべり続けていました。看護師さんが病室を出るタイミングを逃すくらいに多弁だったのをよく覚えています。いつもなら針を刺されるのを泣いて嫌がる自分が、この時は痛がりつつ笑っていました。

手術室でも喋る、喋る。下半身麻酔の痛みに涙を流しつつも、調子よく喋る、喋る。怖い怖いと言いつつも、時には笑う。もはや狂気すら感じますよね(笑) そして、手術室から出ると「あー、楽しかった!」という感じでした。

手術後しばらくは麻酔で動けませんが、そんなことは全く気になりませんでした。麻酔が引いて手術跡が痛むので痛み止めをもらうのですが効かない。でも気にせず、ずっとへらへら、ずっとぺらぺら。痛くてたまらないはずが、術日から数えて5日ほどはそんな調子でした。病室でも術後の実家でも、一人でへらへらして、遊びたくて、じっとしていられませんでしたが、片足が手術で痛んで使えなかったため、家の中ですら歩き回ることはしませんでした。

もし骨折したのが足でなく腕だったら何をしていただろうと思います。あんなにもせわしなく、焦るように、数年ぶりに人と会話するかのように多弁になったのは、あの時だけです。手術がきっかけで軽躁になったのだろうと思うのですが、その手術部位が足でよかったと思います。高確率で家を飛び出していたと思うので。