脱げない鎧のせいで優しい言葉も染み渡らない
双極性障害という診断は受けていますが、自分がたまたま立っていた場所が、双極性障害という地名のようなものだったという認識です。
障害に関する一般的な知見は参考になります。とはいえそれ以上に、自分の特性を理解する努力が必要です。これを寛解時に整理すべきです。
双極性障害だからあれができない、これができない、といった、自分を枠に収めることは、自分も周囲の人も幸せにしないと考えています。
また、残念ながら、私は医師を心の底からは信頼していません。なぜならば、医師の時間は限られているからです。私を手取り足取り助けてくれる人は、医師や福祉関係者を始め、この世には存在しません。自分の特性を理解した上で、自分によって自分をコントロールする意識が大切だと思います。
私は猜疑心が強いためか、カウンセリングや認知行動療法の効果はほぼ実感できませんでした。
障害のあるなしはさほど関係なく、今までの失敗で誰かに迷惑をかけたり、傷つけてきた過去は変えようがありません。だからこそ、これまでの経験をふまえて、悩んでいる誰かが楽になる、幸せになる一助になる活動ができたら、もっと前を向いて生きられると思います。
人からは、そんなに自分を追い詰めなくても大丈夫だよ、と、声はかけてもらいます。でも、自分には脱げない鎧があって、その言葉は染み渡らないのです。同じ鎧をまとっている方の顔が少しでも上を向くように。今回事例として登録させていただいているのもこの想いからです。
とーる
○性別:男性
○年齢:30代後半
○診断名:双極性障害Ⅱ型
○現在の職場環境:システムエンジニア
○併発している他の傷病:ADHD(過去の分類ではADD)、不安障害
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