多くの自死した患者を見てきたであろう主治医からの、重みのある言葉

「死んでしまったらおしまいよ。死っていうのはねえ、もう精神科医にとっては、これはもう…。」診察で「順調です」って言おうと思ったのに、主治医はのっけから何を言っているのか…。僕は、双極性障害の常識的な考えに立って、自分で、抗うつ剤をオフにしてしまいました。怒られると思ったのですが、主治医は予想だにしない言葉を切り出したのです。

オフにしてしまった事を危惧しているのでしょうか? 何の薬を飲んでも、生まれつきの僕の心の脆弱性は変わらない。それなのに、双極性障害の新薬に自らチェンジすると言ったことを危惧してくれているのだなと僕は思いました。

順調だからいい。精神疾患はそんな単純な問題じゃないです。芯は変わっていないのですから。ひとたび強烈なストレスに遭おうものなら、脆くも崩れ去って、簡単に死を意識する。多分、主治医はそういう患者を何人も診てきたんだろうと思います。

「薬を変えるのはいいけど、落ちたら原点に返ってね。」そう言われて帰ってきました。ゆめゆめ、慎重であらねばならぬと思います。さりとて、新しい挑戦をしないと見えてこないこともあるのもまた事実です。主治医は現在76歳です。多くの自死の患者さんを見てきたのでしょう。それだけに、実に重い言葉をかけられ、襟を正しました。