鬱状態でひきこもった時は「べき思考」から逃れる
50代後半の男性です。15年前に突然、社会的な関わりが持てなくなりました。長時間労働による過労で鬱状態になりました。躁転して精神病院に措置入院、保護室での拘束治療を経て、現在は双極性障害と診断され、精神障害者3級です。2018年4月より、障害者雇用で半日勤務をしています。
「ひきこもり」時には、自分の意志が弱いからと自分を責める時間が長く続きました。パトカーや救急車を呼ぶような事態が起きなければ、治療も始まらなかったかもしれません。投薬によって、大きな浮き沈みを抑えることができていますが、当たり前のことが当たり前にできるようにはなりません。しかし,以前のような長期間のひきこもりになることは今のところありません。
社会と関われない原因には、さまざまな要素が複雑に絡まっていると思います。私の場合は、もともと持ち合わせていた発達障害に加え、虐待を含む成育歴や長時間労働が引き金として働いたようです。遺伝的な要因もあるのか、息子も大学2年でひきこもり、中退して30歳になりましたが定職に就くことができません。2年前に精神科の投薬治療を始めました。少しずつ外出ができるようになっています。
ひきこもるきっかけは普通の人にとっては取るに足らない程度のつまずき(ストレス)かもしれませんが、ストレス耐性は人によって違うのだろうと思います。また、精神論だけでは解決できず、薬物療法も必要なケースがあるのかもしれません。
「べき」という観念にとらわれるという面は、否めないと思います。私の場合は、中間管理職になり「しなければならない」ということばかりを考えて、夢の中でも仕事から離れることができませんでした。「べき」という思考から自由になることが鬱状態を和らげる方法の一つであることを、認知行動療法の中で教えられました。
同様のことが「ひきこもり」の場合にも言えるのではないかということです。うつ病になりやすい傾向の「まじめ」「完璧主義」「自己表現が下手」という部分も重なり、「べき」思考から自由になれないのではと思います。
ある意味で、今はある程度「病気と仲良く付き合っていこう」と思えるようになり、「べき」という考えが持てなくなっていることも幸いしているようです。「ひきこもり」からの脱出には「諦観」が鍵となる場合もあるかもしれません。
極論になるかもしれませんが、「ひきこもり」から立ち直る「べき」という、社会通念からの脱却も「あり」なのかもしれないと思います。「べき」思考に押しつぶされて、「自傷」「希死念慮にとらわれての自殺未遂」「衝動的な自暴自棄」など命の危険に近づくことがない方を優先したいからです。
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○性別:男性
○年齢:50代後半
○診断名:双極性障害
○障害等級:障害者手帳3級
○現在の就労状況:障害者雇用
○現在の家庭環境:既婚、子あり
○併発している他の傷病:感覚過敏、社交不安障害
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