もう描きたくないと思う時もあるが、気づくとまたペンを握っている
私はセミプロで漫画を描いています。そもそも漫画を描き始めたきっかけが「自分のメンタルヘルスの不調による過去の出来事をエッセイとして起こしてみよう」ということから始まりました。それまで漫画を描いたことすらなく暗中模索しながらの執筆でしたが、それでも一冊の本にまとめることができました。
ですが当時は自分のメンタルヘルスを完全に把握していたわけではなく、さらに「エッセイ」という身近なことを題材とするジャンルであったことから、親交のあった人々にたくさんご迷惑をかけ、中には絶縁状態となった方もいました。このことは今でも申し訳なく思っています。
しかし、その後も懲りずに漫画を描くことを続け、出版社の編集の方に声をかけてもらったり、投稿作が賞に入選したり、漫画を描くことは生活の一部となってきました。
そして漫画を描くことで(それまでも薄々勘付いてはいたのですが)自分のメンタルには波があることをハッキリと自覚しました。描ける時は睡眠時間がほぼなくてもバリバリと描けるうえに「自分はこの世の中の全て森羅万象が描ける!」という万能感があり、描けない時はペンを握ることさえ出来ないのです。
このことを医師に伝えて、初めて自分が「双極性障害Ⅱ型」であることが判明しました。メンタルに問題があると感じ通院し始め、「うつ病」ということでそれまでは治療していました。その間、実に5年間のことです。
現在は双極性障害としての治療を受け、まだまだメンタルについては波があるものの、「自分の気分には波がある」という自覚があることから心構えが出来るようになりました。
仕事は幸い実家が自営業であったことからその手伝いをし、余った時間で漫画を描いています。やはりまだ描ける時と描けない時の二極化はあり、描けない時は「もう漫画なんか描きたくない!」と毎回思うのですが、また気づくとペンを握っています。
今後も明るい未来があるとまでは言えませんが、自身の健康をしっかり管理し、生きがいが持続できるようにしようと思っています。
K
○診断名:双極性障害Ⅱ型
○障害等級:自立支援医療制度を利用中
○就労状況:セミプロ漫画家
○家庭環境:両親と実家暮らし
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