印象に残っている主治医の言葉

主治医から唐突に「病気を楽しんでみたら?」と言われた時は唖然としました。しかし、主治医はこう続けました。

主治医「正岡子規は知ってる?」
わたし「病床六尺を読みました」
主治医「じゃあ話が早い。あの人は結核だったけど、『病を楽しまずして、何を楽しむ、いわんやなお』って言ってるんだよね。」
わたし「そんな部分ありましたっけ?」
主治医「あるから。これは間違いないから、もう一度読んでみて。で、何が言いたいかというと、患者さんの中には、早朝覚醒を利用して朝日の写真撮って楽しんでる人もいるよ。シューベルトは躁鬱病だしね。シューベルトは人生の最後を精神病院で過ごしてるよ。ゴッホは言わずもがなだよね。」
わたし「自分も写真は好きなので、今度やってみます。」

という会話が障害受容の第一歩だったかもしれません。病気を否定するのではなく、初めて肯定的に捉えられた瞬間でした。