状況に合わせた清潔で気張らない服装でいることで、前向きな気持ちになれる

いまの暮らしに変わる前、わたしは着替えについてほとんど意識していなかった。寝間着と部屋着と普段着が、漫然と境目なく混ざり合っていた。はっきりと区別していたのはスーツとお出かけ用の服だけだったと思う。スーツやお出かけ服は着た後のお手入れが面倒なので、だんだん気力が失せて着る機会が減っていった。

気づくといつも同じような服を着ているのが当たり前になり、気分も暗く平坦になっていった。洋服に興味がないわけではない、むしろ思い入れが強すぎて中途半端な服装ができない。上下小物まで考えたコーデか、フラットで無個性な服装か。0か100か思考。

生活を変えようと思った時、服装については特に意識していなかった。それよりも自分自身を立て直すことが最優先だったから。でも実際に生活を変えていくと、すぐに洋服が足りなくなった。外作業に適した服装、汗まみれになった後の着替え、買い物等の気軽な外出着と着替えにバリエーションが増えて、0か100かの間にゆとりが生まれた。

そんな日々のなかで、着替えてすっきりした気分を感じている自分に気がついた。少し気分が落ちている時でも軽く身支度をしていると、自然と気分が整ってくる。高い服でもないし完璧なコーデでもないけど、そのシーンに合った服を着ることで「じゃあやろうかな」と思う。単純だけど、気分は外から変えられる。

服装を変えるにあたって、どうしても必要な出費があった。でもこれまで「お気に入り」として特別扱いしていた服が、普通の外出着としてなんの気負いもなく着られるようもになった。「特別」の壁がなくなって、普段着全体が「ちょっとお気に入りで気分を良くしてくれるもの」に変わった。

いまの服装は完璧にはほど遠い。0でも100でもないグラデーションの間を行ったり来たりして、その時の状況に合わせる。ただ清潔で気張らない服装が、わたしの新しいお気に入りになった。