症状や治療方針に翻弄され続け、ある程度の安定を手にするまで、約20年を要した

私は18歳のころに受験勉強から精神に破綻をきたし、精神疾患を発しました。最初に入院した大学病院では、最初に「神経症」と診断され、次に「統合失調症」となって半年ほど入院し、薬剤性肝障害を起こすほど大量の薬を飲まされたようです。記憶がありません。いかに当時の精神医療が経験や患者の言動をもとに診断されていたか、また教授の方針が強く働いていたかと思うと、精神医学の進歩がなく見えます。まだSSRIもなかったころです。

見かねた両親が強制退院させ、友達のお母さんに聞いた評判のいい総合病院の精神科に転院しました。そこで、現在でも主治医の先生が言った言葉が「馬のように薬飲まされているよ。」でした。それから減薬、抗うつ薬に置換の日々が始まりました。離脱症状が出るとセルシン(ジアゼパム)を筋注して凌ぎながら、なんとか、アナフラニール(クロミプラミン)だけになりました。

そこから、何十年と診断名は「内因性うつ病」で、アナフラニール主体の投薬治療が何十年続きました。それでもうつの波は時々訪れ、これまた、アナフラニールの点滴で気分を持ち上げて過ごしました。しかし、完全にはうつの波を抑えきれず、私は職を転々としました。

ある時期にうつ病が重症化し主治医もECTを提案して紹介転院をしました。そこの主治医は私を見るなり、「ECTの適応はありません。リーマス(炭酸リチウム)とセロクエル(クエチアピンフマル酸塩)飲みましょう。双極性障害で間違いないです。」と診断し、入院しながら薬物療法を行っていきました。セロクエルは過食を引き起こし15㎏ほど太ってしまったので、僕はやめたいと先生に申し出て切ってもらいました。それから、元の主治医のところに転院し、しばらくリーマスとアナフラニールを併用しました。不思議な事に、リーマスを服用してからというもの、あんなに苦しかった日内変動がきれいに消えていました。

それから私は現在46歳。抗うつ薬を無くしてリーマスと双極うつに対応した薬を飲むだけで安定するようになり、仕事も休まずフルタイムで働いています。ここまで約20年。最近の精神科医は最初から双極性障害を念頭に入れて診察を行うと言います。正直時間を取り戻したい。でも、仕方がないことです。いい時代になりましたね。